日本人にも人気のある北欧の国、スウェーデン。スウェーデンは、OECDが実施している「国別幸福度ランキング」では上位の常連国です。また、「高福祉高負担」国家ともいわれており、税金を高負担していても国民の大半は生活に満足していると言われています。日本では考えられませんね。
その高負担の理由には、国民全員が手厚い支援を受けられるという好待遇があるからとも言われていますが、その反面、収入の半分近くは税金を納めなければならなく、ほとんどの家庭は定年まで夫婦共働きをしている国でもあります。
ではなぜ、このような高負担をしていても、福祉国家が成り立っているのか、スウェーデンの福祉事情についてお伝えしたいと思います。
国民の所得全体に対する「社会保障費」と「税金」の割合を示す「国民負担率」ですが、スウェーデンの国民負担率は58.9%です。対する日本の国民負担率は43.4%なので、日本より15.5%高いことが分かります。
また、スウェーデンの消費税率は25%(2018年時点)。対する日本の場合は、8%なので日本より17%も高いことが分かります。もし、日本がこの税率で、1万円の物を買ったとしたら「1万2,500円」に・・・。ため息が出ますね。
◇ 軽減税率制の導入
しかし、スウェーデンでは、生活に必要な日用品などに対しては、軽減税率制が採用されています。
そのため、食品や日用品、宿泊費などの消費税は「12%」、本や新聞、スポーツ、コンサートなど文化的価値のあるものには「6%」となっています。
それでも日本から見ると高いですが、良心的な配慮をされているのがうかがえます。余談ですが、タバコの税率は、25%です。タバコは嗜好品なので、当たり前ですよね。
スウェーデンでは、大学までの教育費はすべて無料です。また、医療に関しては、18歳以下までは無料で、成人(19歳以上)の場合でも診察の自己負担が年間で最大「約1万3000円」まで、薬代は「約2万5900円」までと上限が設けられています。こういった支援が受けられるのも、税金が高負担だからこそ成り立っているのです。
◇ 税金の主な使い道・・・
など
スウェーデンでは、エーデル改革以降「ランスティング」や「コミューン」ごとに分権化されており、行政と市民の距離が近く、民意が反映されやすいのが特徴です。選挙率も日本とは違い若い世代でも80%を超えるほどです。
また、上記で紹介したように、税金の使い道も明確になっており、また、税率が高くてもそれに応じた恩恵が受けられるため、国民の多くは納得して税金を支払っています。
● コミューン
・日本でいう「市区町村」に相当し、住民に最も近い自治体となります。
税率については、分権化されているので自治体によって異なります。しかし、所得税は高収入の人しか課税されないため、実際に所得税を払っている国民の15%程度しかいません。
補足ですが、スウェーデンでも私たちが納めている「道府県民税」に相当する税が存在し、平均してランスティング税がおよそ10%、コミューン税が20%です。
スウェーデンと比較すると、税金率が高く思えるかもしれませんが、それなりのリターンがあるというのはよく分かると思います。
しかし、日本はどうでしょうか?税金を納めたからといって我々に恩恵があると感じていますか?恐らくですが、若い世代や所得が低くなるにつれて、感じていない人の方が多いのではないでしょうか?ちなみに私は、全く感じていません。
まず、日本とスウェーデンの大きな違いは、「税金の使い道が明らかになっていない」だと思います。
税金が上がっているのに、生活保護費の減額、年金受給額の減額、負担割の増加など。これでは、何故上げられているのかが分かりません。そして、根本的な問題も解決しないまま。
そもそも、国民に税金の無駄遣いと言われている時点で、政府は国民に信用されていない証拠です。また、民意が反映されにくいのも、日本の悪い特徴なのです。
いかがでしたでしょうか。スウェーデンの政策は、国が責任を持って国民の生活を支えていこうという気持ちが伝わります。その政策が、国民の納得に繋がっているのだと思います。「日本もスウェーデンのようにすべきだ!」とは言いませんが、スウェーデンのやり方から学べるものは、まだまだあると思います。日本の明るい未来のため、良い部分は参考にし、国民のための政治を行ってもらいたいと切に願います。