目次
滋賀県で、高齢者による運転免許証の自主返納が過去最高の「4,334人」と5年間で3倍近くまで増えていることが分かりました。増えた背景としては、滋賀県警が高齢者に対して運転免許証の自主返納の呼びかけや、高齢者が交通事故の加害者になることが多いことが関係しているということです。しかし、車がなければ生活に何らかの影響を与えることに対して、困惑をしている高齢者もいるのは事実です。ここでの記事では、運転免許証の自主返納の背景と、自主返納について困惑をしている高齢者の背景についてお伝えします。
運転免許証の自主返納制度が始まった2011年9月以降、滋賀県内の運転免許証の自主返納者数は右肩上がりとなっています。
内訳を見てみると2012年は「1,630人」から2017年には「4,334人」と増えており、そして今年2018年8月までで既に「3,166人」となっています。
また自主返納者の多くは、75歳以上の高齢者が約8割を占めており、滋賀県では高齢者の運転免許証の自主返納者が増えています。
自主返納が年々増加している背景について、滋賀県警からは「全国(県内含め)で、高齢者ドライバーによる交通事故のニュースなどが取り上げられ、自身の運転を見直す機会が増えている可能性がある」と述べられています。
さらに2017年には、主に高齢者に対しての道路交通法の改正が行われたことも、返納者の増加に繋がっていると指摘。
また、そのほかにも家族の積極的な支援や、介護保険制度の活用により、高齢者の運転免許証の自主返納が増えた可能性があるとされています。
ちなみに、改正された道路交通法では、一定の違反をした75歳以上のドライバーに対して「臨時認知機能検査」の実施、必要に応じての講習、検査で認知症の疑いなどの指摘を受けた場合には、医療機関による受診義務、診断書の提出などといったような、適性検査が強化されています。
上述のように、運転免許証の自主返納が増え続けている反面、運転免許証の自主返納を拒む高齢者もいます。しかし、高齢者ドライバーの交通事故は後を絶えません。
当サイトでも高齢者ドライバーによる交通事故についていくつか取り上げていますが、「アクセルとブレーキを間違えた」「人だとは思わなかった」「発見に遅れた」などといった注意に欠けるものが多いです。
またこういった事故を起こした高齢者に対して、その家族は運転を控えるようにと説得していたケースも少なくありません。では、なぜ高齢者は運転を控えようとしないのでしょうか。
自主返納を拒む理由で一番多いのが「不便になる」といった理由です。都心など交通機関が発達している地域では、車が無くても特に不便を感じることはあまりありません。
しかし地方は、そういった地域とは比べて交通機関が充実はしていないことが多いです。
なかには、便数が減る、路線がなくなるといった移動手段が限られてしまう場合もあり、高齢者には死活問題のようなことも起きます。
またタクシーの割引制度があっても、無料ではないため年金だけで生活をしている人からは、頻繁に利用はできないという声が聞かれた。
こういったことから、危ないとは分かっていても運転免許証の自主返納を拒んでしまう理由となっています。
対策もないのに自主返納をただ促すのでは、高齢者が生活の質を下がるだけです。
やはり、その地域の特性を生かした高齢者を支えるシステムづくりが必要なのではないでしょうか。
なぜ、その地域の高齢者が、運転免許証の自主返納を拒むのかを、地域の自治体はそこを深く考え検討していかなければならないと私は思います。