高齢者の運転免許証返納後の無免許運転相次ぐ

タイトルから非常にショッキングなものとなっていますが、これは事実です。9月に兵庫県に住む80代の高齢者男性が、運転免許証を返納しているのにも関わらず車を運転し、道路交通法違反の疑いで逮捕されています。この男性は3か月前に運転免許証を返納したばかりの方で、その後調べによると認知症にかかっていたとされています。こういった内容の事件が全国各地で起きており、高齢者の運転免許証返納後のあり方についても考える必要があります。

返納したことを忘れている

無免許運転で摘発される高齢者の多くは、運転免許証を返納していることを忘れているという事実が分かりました。

今年の9月に福島県いわき市で、免許証の返納後に運転をしてしまい男女2人をはね重軽傷を負わせた事故がありました。この男性は運転に不安だということで、自主返納をしていましたが、自身で返納したことを忘れ、車を運転し事故を起こしてしまいました。

認知症の疑い

上述でお伝えしたように、自主返納そのものを忘れているとなると、認知症に罹患している可能性があります。

認知症に罹患してしまうと、記憶する機能が低下していき、運転免許証を返納した記憶がスッポリと抜けてしまいます。

記憶というのは、大きく分けて長期記憶と短期記憶があり、特に短期記憶の機能が著しく低下するため、運転免許証を返納したことを忘れてしまう可能性があるのです。

よく認知症の方で、最近の出来事は覚えていなくても、昔の出来事は覚えているというのは、長期記憶が比較的短期記憶より保たれているからです。

返納後は、必ず車を処分する

運転免許証の返納後は、誤って車を運転をしないよう車を処分することを勧めます。自主返納者が認知症に罹患していた場合、車があると何の気なしに乗ってしまうからです。

また、認知症に罹患していない場合でも「つい、乗ってしまった」ということを防ぐことが出来ます。

どうしても残しておきたい人は、鍵を第三者に預けるなどし、自身で運転できないようにする必要があります(近隣の合鍵屋さんにも連絡し、新たに鍵を作れないようにする必要もあります)。

車は本人の財産なので、警察でもどうすることも出来ません。家族の力が必要となります。

引きこもりの防止対策が必要

返納後の次に気をつけなければならないのが、引きこもりです。車という移動手段がなくなると、行動範囲が極端に狭くなり、引きこもりになりやすくなります。

さらに、引きこもりは「病気の誘発」や「身体機能の著しい低下」、「孤独死」を招く恐れがあるため、軽く考えてはいけません。

返納後の対策として、タクシーやバスの割引券などを配布している地域もありますが、都市部から遠ざかるにつれて、公共機関の利便性は徐々に悪くなります。

こういった高齢者に対してどのように対策していくかが、返納後の課題となります。

介護保険サービスの利用の検討

まず、考えられるのが「介護保険サービス」の利用です。介護保険サービスの種類にもよりますが、外出の機会作りの筆頭といえば「デイサービス」です。

ディサービスを利用すれば、必ず家から出ることになります。さらに、同じ世代の方と触れ合うこともできるため、引きこもりの防止になります。

こういったサービスの利用により、人と接する機会が増えますので、自宅で1人で引きこもりの防止ができます。

地域包括支援センターに相談

上述でお伝えした、介護保険サービスも一つの手ではありますが、地域によってサービスの種類や実情などで異なりますので、必ずしも当てはまるというわけではありません。

そういった方などに対して、地域を見守る役割を担っている「地域包括支援センター」へ相談するのも一つの手です。

地域包括支援センターとは、簡単に言えば、あなたの住んでいる地域の相談窓口です。相談対象者は、基本的には65歳以上になりますが、返納後はどのように生活をしていったら良いかなど、地域の実情に合わせた助言や対策などを教えてもらうことが出来ます。

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