現在わが国では、何らかの事情により介護が必要となった方に対して介護給付が受けられる介護保険制度というものがあります。これは、国から認定(介護認定)された方にだけしか利用は出来ません。しかし介護認定を受けているけども、介護保険サービスを利用しないことで、国から給付がもらえるという施策があります。それが「家族介護慰労金制度」という制度です。前置きが長くなりましたが、家族介護慰労金制度は介護保険制度の一環です。では、この家族介護慰労金制度というのはどのような制度なのか、どのくらい給付がもらえるのか、申込みの仕方など解説していきたいと思います。
介護保険制度の基本概念は、病気やケガなどの影響により介護が必要になった方でも、自立した生活が送れるように支援する制度です。そのため、本来自分で出来る行為に対して介護保険サービスに頼るのは、対象外となります。あくまで自身に残された能力を生かしつつ、出来ない部分を補うのが介護保険制度の本来のあり方です。
介護保険サービスを受けるには、まず介護認定を国から受けなければなりません。現在わが国では、2018年9月13日に厚生労働省が公表したデータによると、「要介護・要支援者」の認定者数は649.3万人いることが分かっています。
そのなかでも、第1号被保険者(65歳以上)に該当する認定者数の割合は「約18.2%」です。また、2018年4月時点でわが国の65歳以上の人口は3515万2000人ということが分かっています。
※情報元:https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/m18/dl/1806a.pdf
介護保険制度および介護保険サービスは、基本的には在宅中心のサービスの提供をすることにより、高齢者の介護をしている家族を支援するものです。
しかし、住んでいる地域などによっては介護保険サービスが十分に機能していない場合もあります。例えば、離島やへき地、中山間地などです。
また、家族の手で介護がしたいという考えを持っている家庭も少なくありません。こうした地域や家族などの事情に対しての具体的な対策が出されるまでの間、区市町村が家族介護支援事業を行った場合に限り、国としても助成をすることになりました。下記に、家族介護支援事業の内容についてまとめましたので、ご覧ください。
・紙おむつ
・尿取りパット
・使い捨て手袋
・清拭剤
・ドライシャンプー
・介護用品などの引換券
など
支給品については、地域によって異なります。基本的には支給内容は、その地域の判断および実情に応じて決めてよいとされています。
● 家族介護慰労事業(制度)
重度(要介護度4・5や医師が認めた方)で、市町村民税非課税世帯の高齢者が過去1年間介護保険のサービスを受けなかった場合に、在宅介護している家族に対して慰労として金品「年額10万円まで」を贈呈した場合に、経費を助成する事業。
ただし、年間10日以内であればショートステイ等(特定のサービス)を利用しても、介護保険サービス給付の対象となります。
上述で説明した内容の事業を行っている区市町村に対して、国が助成する制度です。これらの事業は、介護を受けている高齢者や介護を行っている家族に支援を行っている区市町村は少なくありません。そしてその事業の中の一つに、慰労金がもらえる制度が「家族介護慰労金制度」です。
介護を受けている人や家族の中には、「家族以外の人には介護されたくない」「家族で介護を行いたい」「周りに満足する介護保険サービスがない」などです。そういった人たちに対して慰労金を支給するのが「家族介護慰労金制度」です。
支給額については、お住まいの区市町村で異なりますが、年間10万円の自治体が多いです。
家族介護慰労金制度は、誰でも受け取れるというわけではなく、対象条件があります。それが、下記の通りです。
● 1年以上、要介護4・5に認定されている者。
● 要介護者が自宅で介護を受けている者。
● 過去1年間の間、介護保険サービスを利用していない。(年間10日以内であれば、ショートステイなどの一部例外はあり)
申込み方法については、各自治体によって異なりますので、お住まいの区市町村のホームページを参照するか、介護保険課(高齢福祉課)の窓口で直接問い合わせることをお勧めします。ここでは一例として、東京都で一番人口の多い区である「世田谷区」の申込み方法について紹介したいと思います。
※情報元:http://www.city.setagaya.lg.jp/konnatoki/1007/1122/1126/d00014764.html