よくニュースなどで高齢化社会という言葉を聞きますが、高齢化社会は高齢化現象の1つの事象の呼び方に過ぎません。タイトルの通り、高齢化現象
の呼び方には3つあります。
それぞれの定義は、高齢化社会は高齢化率が7%以上・高齢社会は高齢化率が14%以上・超高齢化社会は高齢化率が21%です。現在、わが国の高齢化率は28.4%ですので超高齢化社会ということになります。ここでは、各高齢化社会などの定義や、高齢化に突き進んでいった原因などについて深掘りしていきたいと思います。
目次
高齢化社会の定義は、総人口に占める65歳以上の高齢者の割合が7%を超えた状態のことを指します。
わが国では、1970年に高齢化率が7.1%に達し、高齢化社会に突入しました。この頃の65歳以上の高齢者の人口は約700万人ほどです。ちなみに、2019年9月現在の高齢者の人口は約3500万人ですので、50年間で5倍に増加したことになります。
歴史的な話をすれば、高齢化社会に突入した1970年の日本は高度経済成長期です。世の中には電化製品が増え始め、3Cと呼ばれる【カラーテレビ】【クーラー】【車(Car)】が登場したのがこの年です。また、科学技術や医療技術の急速な進歩に伴い、長生きする人が増えたことが高齢化率の上昇の大きな要因と言えます。
高齢社会の定義は、総人口に占める65歳以上の高齢者の割合が14%を超えた状態のことを指します。
日本が高齢社会を迎えたのは1994年です。日本が高齢社会に突入したスピードは他国よりも遥かに速く、ドイツでは40年、アメリカが72年、フランスに至っては115年と1世紀以上かかっているのに対し、日本はわずか24年です。いかに日本の高齢化率の上昇が速いかが分かります。
高齢化率を上昇させた主な原因の1つが少子化です。高齢化社会に突入した1970年では2.13%あった出生率が1994年には1.50%までに減少し、この頃から少子高齢化社会という言葉が使われるようになりました。
超高齢化社会の定義は、総人口に占める65歳以上の高齢者の割合が21%を超えた状態を指します。
わが国では、超高齢化社会に突入したのは2007年で、今から13年前のことです。超高齢化社会の突入のスピードは世界的にも類を見ない速さとなっており、現在の高齢化率は28.4%(19年9月時点、内閣府公表)です。ちなみに、高齢化率が第2位のイタリアで23.3%ですので、いかに日本の高齢化率が高いかが分かります。
今後も日本の高齢化率は上昇し続け、2030年では31.2%、2045年は36.8%、2060年には38.1%になると予想されています。
補足として高齢化率の求め方は、高齢者人口÷総人口×100=○○%となっています。
超高齢化社会になった原因は大きく分けて3つあります。それは、出生率の低下、未婚、晩婚化、平均寿命の延伸、です。
出生率の低下についてですが、第一次ベビーブーム時代(昭和22~24年)の出生率は4.32%(一番多い年)、第二次ベビーブーム時代(昭和46~49年)で2.14(一番多い年)だったのに対し、現在の出生率は1.42%(19年9月現在)と減少の一途を辿っています。
次に、未婚、晩婚化ですが【内閣府が結婚をしていない理由】を調査したところ「自由や気楽さを失いたくない:32.9%」「結婚後の生活資金が足りない:29.6%」「必要性を感じないから:28.3%」といった回答が上位を占めました。つまり、こうした理由も出生率の低下に影響を及ぼしていると考えられます。
平均寿命の延伸についてですが、医療技術の向上やインフラの発展、食生活の変化が挙げられます。それらのことについて、次ではもう少し深掘りしたいと思います。
高齢化社会の項目でも触れましたが、一番は医療技術の向上が挙げられます。医療技術の向上により、ガンや脳血管疾患、肺炎、心疾患などの死亡率が低下した結果、高齢者の平均寿命が延び、総人口に占める高齢者の割合が増えたのだと考えられます。
また、わが国には国民皆保険制度があり、国民全てが保険加入が義務付けられています。そのため、調子が悪くなれば病院受診がしやすく、且つ安価に医療が受けやすい環境になっているのも寿命が延びた要因の1つだと考えられます。
医療技術の他にも高度経済成長を機に、わが国のインフラは大きく発展しました。具体的に言えば【道路や鉄道、上下水道、ダム、通信施設、病院、学校、公園、福祉施設】など今現在でも発展しつづけており、その影響で日本は住みやすくなり、且つ清潔になったことが平均寿命が延びた要因と考えられます。
例えばですが、道路や鉄道の発展したことで楽に移動でき、自分にあった病院へ受診がしやすくなりました。医療側からすれば医薬品・臓器、輸血用パックなど生命にかかわる医療品や、医薬品が比較的早く手に入りやすくなり、タイムラグなく患者に使うことがでるようになりました。
福祉施設では言えば、高齢者の交流の場や活動の場の提供で、介護予防や健康寿命の延伸に一役買っています。
清潔面に関しては、わが国は世界的にも路上にゴミが落ちていないと定評を受けるほど街は綺麗です。公衆トイレに至っても公共とは思えないほどの綺麗なトイレはいくつもあります。住んでいる地域が綺麗というのは、健康状態にも大きく左右されていくのだと思います。
健康的に過ごすには、栄養状態が良くなければできません。
コンビニやスーパー、高齢者向け配食サービスなどの発達で、気軽に栄養が摂れる時代です。近年、核家族化の影響で1人暮らしの高齢者は増えていますが、1人暮らしでも手軽に栄養が摂れる環境になったことで、寿命が延びたと考えられます。
超高齢化社会が今よりも進展していくと、どのような現象が起きていくのか。次は、高齢者目線でお伝えします。
わが国では少子高齢化問題に直面しており、高齢者を支える若者が年々減少しているのに対し、支えられる側の高齢者が増えています。年金や保険料を納める若者が少なくなると、年金支給額、生活保護費の減額、医療や介護の利用負担の増加は不可避です。
各自治体などで高齢者を対象にした優待サービスや、民間企業などが実施しているシニアサービスの利用年齢が上がる、もしくは廃止される可能性があります。
わが国では、65歳からが高齢者と位置づけていますが、労働力の確保、社会保障費、各種税金の確保を目的に70歳に引き上げる動きが出てきています。そうなると、今までは65歳から受けられたサービスも上がると考えられます。
また、高齢者の人数が増えればサービスを提供をしている自治体や民間企業の負担になるため、サービス廃止や利用条件が設けられる可能性はあります。
これも少子高齢化に関連することで、介護をする若者が減少すれば、当然介護が受けづらくなります。介護施設も人手不足により運営ができず介護施設が減っていき、現在の特別養護老人ホームのように、ディサービスといった在宅の介護サービスですら申込みの競争率が高くなります。
その結果、介護が受けられない介護難民と言われる人たちが増えていきます。
介護難民が増えれば、日本中に老老介護(高齢者同士の介護)や認認介護(認知症高齢者同士の介護)も同時に増えていきます。
いかがでしたでしょうか。
総合人口を占める高齢者の割合が、高齢化社会の場合は7%、高齢社会は14%、超高齢化社会になると21%がそれらの定義になります。現在、わが国は超高齢化社会に突入しており、世界でも断トツトップの高齢化率となっています。長寿大国といえば聞こえはいいですが、実際は問題だらけなのが現実です。
民間レベルでの高齢化問題の対策は多くはありませんが、地域で高齢者を支える仕組みを今以上に構築することが無駄な社会保障費などを使わずに、サスティナブルな社会になっていくのではないかと思います。