昨今の介護事情は【施設・病院から在宅介護】という介護の流れになりつつあります。しかし、介護の状態にもよりますが在宅介護というのは簡単なことではありません。
最近では特に、家族の介護疲れで高齢者を殺してしまう事件をよく聞きます。「家で介護が出来ないなら施設に預ければいい」と思うかもしれませんが、その選択を冷静にできないほど精神的に追い詰められていたのかもしれません。
また、近年では5080問題といった40~60歳くらいの子が親の年金で同居している例もあり、日々の生活がやっとで親を施設に預ける余裕がない場合もあります。
ここでは、2019年に起きた介護疲れによって高齢者が殺害されてしまった事件5選をお伝えしたいと思います。
目次
2019年7月24日夜、東京都北区の公園で、同居していた85歳妻の首を絞めて殺害したとして、75歳の夫が逮捕されました。
殺人容疑で逮捕されたのは、東京都北区の荒井静吾容疑者(75)です。荒井容疑者は、24日夜、自宅付近の公園で同居していた妻の首をネクタイで絞めて殺害した疑いが持たれています。その後、荒井容疑者も刃物で自分の手首を切り、自殺を図りましたが無事でした。事件後「妻を公園で殺した」と自ら交番に届け出て事件が発覚したということです。
妻には認知症の症状がありました。警察の取り調べに対し、荒井容疑者は「自分も死のうと思った」「介護に疲れたので殺した」などと話しています。
荒井容疑者は妻と40年以上前から同居していたということです。
2019年7月7日午前8時半ごろ、愛知県蒲郡市形原町の住宅で96歳の姑が介護ベッドの上で殺害されているのが見つかり、警察は長男の嫁(70)を殺人容疑で逮捕しました。
殺人容疑で逮捕されたのは、大塚文子容疑者(70)です。警察によりますと、7日午前8時半ごろ、96歳姑がいる母屋に長男が朝食を届けるために訪ねると、介護ベッドの上で姑が殺害されているのを発見。姑の首には紐で絞められた痕があり、死因は首を絞められたことによる窒息死でした。
大塚容疑者は姑が遺体で見つかる直前に睡眠薬を多量に飲み、路上で倒れているところを発見されていました。大塚容疑者は、介護疲れで犯行に及んだ後、自らも命を絶とうとしたということです。取り調べに対し、「おばあちゃんの世話で眠れなくなった」などと話し、容疑を認めているということです。
姑は、2019年5月に転倒して歩行が困難になり、同じ敷地の離れに暮らす長男と大塚容疑者が介護していたということです。
その後、名古屋地検岡崎支部は2019年12月13日、同居する姑を殺害したとして、殺人罪で愛知県蒲郡市、無職・大塚文子容疑者(70)を起訴しました。約4カ月半の鑑定留置の結果、刑事責任を問えると判断したということです。
● ネットの反応
2019年5月27日午前10時頃、千葉県鎌ヶ谷市の自宅で着替えに手間取った64歳の父親の腹部を殴り死亡させたとして、38歳の息子が逮捕されました。
傷害致死の容疑で逮捕されたのは、桜庭賢二容疑者(38)です。5月27日午前10時頃、桜庭容疑者は自宅で着替えに手間取った父親の腹部を拳で殴り、出血性ショックで死亡させた疑いが持たれています。
当初は救急隊らに「父親が階段から落ちた」などと説明していましたが、司法解剖の結果などから事件が発覚。警察の取り調べに対し、桜庭容疑者は「介護にストレスを感じてやってしまった」などと話し、容疑を認めているということです。
昨年2月から2人は同居しており、死亡した男性は日常的に介護が必要な状態でした。また、死亡時には顔や腹部に古いアザがあったということです。
● ネットの反応
2019年5月30日午後7時45分頃、石川県七尾市で74歳妻の遺体を遺棄したとして、75歳の夫が逮捕されました。
死体遺棄の容疑で逮捕されたのは、金沢市諸江町の長岩光男容疑者(75)です。警察によりますと、長岩容疑者自ら「妻を手にかけた」と娘夫婦に付き添われ、七尾警察署に自首し事件が発覚。
警察は、長岩容疑者の実家(兄宅)・七尾市能登島野崎町を捜索したところ、風呂場でうつ伏せに倒れている女性の遺体を発見。遺体には、首に数センチほどの切り傷がありました。
警察の取り調べに対し、長岩容疑者は「妻の介護に疲れた」などと供述しており、殺人容疑も視野に捜査を行っています。
長岩容疑者を知る同級生は「どっちかといえば和やかな人。奥さんが足が不自由と言っていた。26日に電話があった。『奥さんが元気だ』とか『俺も元気だ』とか、『お互いぼけてしまったなあ、年とると弱ったな』と話していた」と明かしています。※引用:MRO
●ネットの反応
2019年10月27日未明、福島県郡山市の自宅で88歳の妻の首を電気コードで絞めたとして、63歳夫が逮捕されました。
逮捕されたのは、郡山市の無職・深谷文幸容疑者(63)です。27日午前3時すぎ、深谷容疑者は自宅マンションの一室で25歳年上の妻・ヒデさんの首を絞めて殺害した疑いが持たれています。
深谷容疑者は犯行後自ら警察に通報し、ヒデさんは市内の病院に搬送されましたが死亡が確認されました。警察の取り調べに対し、深谷容疑者は「介護に疲れていて、電気コードで首を絞めた」などと話し、容疑を認めているということです。
夫婦のことをよく知る人は、殺人の容疑で逮捕された無職・深谷文幸容疑者のことを、認知症を患い約10年前から車いす生活を送る妻・ヒデさんを介護してくれた自慢の夫だったと語っています。
深谷容疑者とヒデさんは、築45年6階建てマンションの1階2LDKに住んでいました。住人や不動産関係者によりますと、家賃は推定月4~5万円とのこと。しかし、老朽化などの理由で取り壊しが決まっており、住人は2020年2月までに退去しなければなりませんでした。
同マンションに住む住人によると、深谷容疑者は片づけはしているものの、次の転居先が決まっていないと話していたという。深谷容疑者の普段の様子について尋ねると「自分から色んな人に話しかけるなどの社交的な方だった」、「前に奥さんが転倒し起こすの手伝ってほしいと助けを求めてきて、殺害するほど思い詰めているとは思わなかった」と語っていました。
亡くなったヒデさんと長年の親交がある洋服店の店主によると、ヒデさんは女優のような美形な方だったようで、ヒデさん本人から年の差夫婦の馴れ初めを聞いていたそうです。
ある日、ヒデさんが店に来て「私、結婚したんだぁ!」と嬉しそうに店主に報告。「相手は誰か」と聞き返すと「出会いは飲み屋さんで」と答え、飲み屋の店の常連だったヒデさんが1人で飲んでいたところに、大人しく真面目そうな男性客が入店。その客が深谷容疑者でした。
朗らかな性格だったヒデさんから深谷容疑者に話を掛けました。当時、深谷容疑者は地元の有名な大企業の工場で働いていました。深谷容疑者はヒデさんに「独身で、彼女募集中です」と笑いながら言うなどして、2人は楽しく飲んでいたという。その当時、ヒデさんは60代後半、深谷容疑者は40代でした。
ヒデさんが先に会計を済ませて店を出ると、あとから慌てて会計した深谷容疑者がついてきて、雪の降る寒い夜の中を一緒に帰り、ヒデさんが暮らすアパートに近づいたとき、ヒデさんから「寒いでしょ、上がってコーヒーでも飲んでいく?」と言い、深谷容疑者はうなずき、そこから連日ヒデさん宅に来るようになり、やがて同棲するようになったということです。
同棲生活が数年続き、ある時ヒデさんの方から「私も70歳を過ぎ、どんどん歳をとる。はっきりしてほしい」と今後のお互いの行く末について迫り、深谷容疑者は「結婚する。一緒になりたい」とプロポーズ。この時でヒデさんは72歳でしたが、2人は事件が起きたマンションに引越し、新婚生活が始まりました。
幸せな新婚生活が始まり、深谷容疑者は「ヒデちゃん、ヒデちゃん」といつも言って一緒に過ごしていました。
しかし、ヒデさんのパーキンソン病が悪化し、歩く時は手を繋がなければ転倒してしまう状態になり、今から約10年前からヒデさんは車いす生活に。そして、深谷容疑者は早期退職でヒデさんの介護を始めたということです。
ヒデさんは週2回でディサービスを利用し、深谷容疑者は午前8時半ごろになるとマンション前に立って送迎車が来るのを待ち、夕方になると早めに道路端に立って出迎えたりと献身的に介護をしていました。
また、坂道の多い街の中、車いすに乗ったヒデさんを押して散歩し、ヒデさんに「花がきれいだね」と話しかけるなど仲睦まじく、あまりにも仲が良いことからか、夫婦と話したことがない人からは【親孝行な息子さん】と勘違いされるほどだったという。
程なくしてヒデさんは認知症を発症し、その影響から深谷容疑者の浮気などを妄想するようになり「看護師といい関係になって私を毒殺しようとしている」「訪問介護士とデキてて私の洋服をあげちゃう」「介護士が私の指輪を盗んだ」。ついには「あの介護士とデキてるんでしょ!」と長いホウキで叩くようになったという。
事情を知る人は「年をとってからの恋愛、年の差という状況から旦那さんが奪われると心配したのかもれない」と語っています。
深谷容疑者のお財布事情も厳しかったようで、約5年前に総額8万円の買い物用の電動自転車を中古で購入する際に頭金を3万円を入れ、月1万円ずつを分割払いをするほど苦しかったという。
このような生活の中、引越し期限が刻々と迫り、転居先の物件探し。さらに転居先の条件で家賃のほか【玄関にスロープ】【車いすが入れる1階の部屋】を希望していたという。
仮に希望が叶っても周囲との人間関係の構築、環境の変化、ヒデさんの体調、そして介護が待っているのには変わりはなく、こうした状況から思い詰め、最悪な結果になったのかもしれない。
※一部引用:週刊女性PRIME
無謀な結婚だとか他人には見えるかもしれないけど、お互いにホッとする存在だったのではないでしょうか。