孤独死という言葉は、恐らくニュースや新聞などで一度は耳にしたことがあると思います。孤独死の定義はないのですが【誰にも看取られず、1人で生涯を終える】ことが孤独死と言われています。
しかし、実際の孤独死は簡単に「生涯を終えましたね」とは言えないのが現状で、発見時の遺体はドロドロに溶け、腐敗臭や虫が湧いた状態です。そして、そういった惨劇は1人暮らしの高齢者ならば誰にでも起こり得ます。
そういった悲惨な死を遂げないためにも、ここでの記事では、孤独死の対策について紹介したいと思います。
目次
孤独死とは、1人暮らしをしている高齢者が自宅で病気や老衰といった原因で亡くなることを言います。
なので、殺人や自殺などで死亡した場合は、孤独死とは言わず【変死・自殺・他殺】といった扱いになります。また、介護施設(病院)といった場所(個室など)で亡くなった場合も孤独死にはなりません。
孤独死が起こる理由については、1つの原因だけではありません。ただ、孤独死をする人の多くは【社会から孤立し、病気持ちで経済的に余裕がない人】と言われています。「なぜ?」と疑問に思う方もいると思いますので、簡単に解説します。
まず、社会から孤立している人は、普段から接している人がいないので、死亡した時に発見される機会が減ります。さらに、病気持ちだと、健常者以上に生活に気を配らなければなりませんが経済的に余裕がないと食事も質素になったり、病院への通院回数も減らしたり(行かなかったり)と気を配れない状況を作り出してしまいます。
これは1つの例ですが、こういった環境だけでも孤独死が起こる原因になるのです。
実際、孤独死の多くは発見が遅れたがために無残な姿で発見されます。そういった死に方というのは、必ず誰かに迷惑をかけます。例えば、賃貸住宅に住んでいたのであれば、まずオーナーに迷惑が掛かり、部屋の清掃は誰がするのか、リフォーム代、滞納していた賃貸料金は誰が払うかなどです。持ち家であっても親族に負担がかかります。
自分は死ねば関係ないでしょうが、人に迷惑をかける死に方は私は良しとは思えません。というか、止めてもらいたいです。でも実際には「じゃ、どうすればいいのよ?」と思っている方もいると思いますので、次は、悲惨な孤独死を防ぐ方法について紹介します。
詐欺でもそうですが「自分は大丈夫」と思っている人こそ危険ですので、下記に孤独死をする人の特徴を載せましたので、自分と照らし合わせてみてください。
掃除が苦手
・掃除が苦手ということは、衛生的な環境で過ごせていない可能性があるので、病気になるリスクを上げたり、持病を悪化させる恐れがあります。例えは良くないですが、下水道に住み続けていたら、自分の体にどんな影響が出るかは容易に想像がつくはずです。
料理をしない(苦手)
・料理をしないということは、バランスの良い食事を摂れないので低栄養になる危険性があります。低栄養になると、様々な病気の発症のリスクを上げ、持病の悪化の原因にもなります。また、しっかりと食べていないとエネルギーを作り出すことが出来ないので、意欲低下や活動量の低下にも繋がります。
・栄養管理がされている宅配弁当を毎日食べているのであれば問題ありませんが、食品添加物が沢山入った弁当や惣菜を毎日食べていると体に悪影響を与えます。
持病がある
・持病があるということは、しっかりと体調管理をしなくてはなりません。不健康な生活をしていると、それだけで病気の悪化に繋がります。その悪化が原因で生活がまともに出来なくなり、気づいた時には身動きがとれず死亡に至るケースはよくあります。そのため、人一倍健康に気を使わなくてはなりません。
頼れる人がいない
・親族、友人、近隣住民などの交流がない人は孤独死をする確率が高くなります。それらの人がいないという人は、もし死亡した時に発見される確率が限りなく減ります。よく聞くのが「腐敗臭がする」といって隣人(関りがない)に通報されて発見されるケースはこれに当たります。
経済面で困窮している
・経済的に余裕がないということは、生活の質が下がる原因にもなります。それは、食事や介護、医療といった大事なところにお金がかけられないため、不健康になりやすい状況を作り出します。
自分は男性高齢者
・東京都監察医務院の資料によりますと、2016年に12,780人の案件で1人暮らしの死者が6,109人。そのうち男性が4,136人、女性が1,973人で約7割が男性だったことが分かっています。これらの人全てが孤独死という訳ではないと思いますが、参考程度に留めてもらえたらと思います。
高齢者の孤独死対策を実施している自治体があります。
1つの例として、東京・練馬区の社会福祉協議会では見守りを希望する人に「無事です」と書かれたマグネット式ステッカーを渡し、朝の起床時にドアの外側に貼ってもらいます。
見守り側は、ドアに貼ってあるマグネットを確認したら、ポストに返却します。もし、貼っていなければ然るべき対応をとる仕組みになっています。
このような孤独死対策を行っている自治体は数多くありますので、お住まいの市区町村に問い合わせると良いでしょう。
身近に助けを求めたり、相談する人がいないという高齢者は少なくありません。また「地域の繋がりを持つ必要がある」と言われても「今更どうすればいいの?」という人もいると思います。そういった人は、民生委員と関わりを持つことをオススメします。
民生委員とは、1人暮らしの高齢者や障害がある方、生活困窮者といった人などの相談相手になり、何か問題があれば行政や専門機関をつなぐパイプ役として活動しています。
実際の活動としては、定期的に(月1回程度から)担当区域の住宅を訪問します。訪問といっても家に上がるわけではなく、玄関先で「最近、調子はどうですか」といった軽い会話で終わる程度です。
民生委員との関わりがない方は、一度、お住まいの市区町村に民生委員について相談を行うと良いでしょう。
地域包括支援センター(以下、センター)とは、地域に住む高齢者の生活をサポートをする公的な相談窓口です。センターの所在は、およそ小中学校区間に1つ設置されており(地域による)、センターには【医療、介護、保健福祉】に特化した専門職が常駐しています。
相談内容にもよりますが、高齢者の相談によくある介護保険の新規申請や保健福祉サービス、自治体の施策などそれぞれの専門的な見地からアドバイスをしてくれます。
また、上記でお伝えした民生委員とも繋がりがあるため、民生委員に介護の相談があると伝えれば、センターに取り次いでもらうこともできます。
軽費老人ホームとは、自治体や社会福祉法人などが運営しているため、比較的安い料金で日常生活のサポートを受けられる福祉施設です。また、軽費老人ホームに大きく2つに分けられていますので、簡単に解説します。
軽費老人ホームA型・B型
・1人暮らしが難しい高齢者が対象で、所得に応じて入居費の料金が変わります。
A型は食事提供があり、B型は自炊ができる高齢者が入居します。しかし、介護が必要な高齢者は入居できません。
ケアハウス(一般型と介護型)
・C型と呼ばれることもありますが、どちらでも通用します。
一般型は、介護が必要ない高齢者、もしくは軽度な介護が必要な高齢者が入居できます。
対して、介護型は介護サービスや生活支援、安否確認など必要な高齢者が入居できます。
いかがでしたでしょうか。
今や社会問題にもなっている孤独死問題。ここでの記事では、自分が孤独死をしないための方法についてお伝えしました。自身の身の振り方で孤独死を防ぐことは限りなく可能です。
ちなみにですが、内閣府が1人暮らしの高齢者に対して【※孤独死を身近な問題として感じるか】という調査を実施し、1人暮らしの高齢者の約45%(内訳:とても感じる(14.6%)、まあ感じる(30.8%))が「感じる」と答えています。※(平成29年版高齢社会白書:高齢者の生活環境より)
この調査結果でも分かるように、1人暮らしをしている高齢者の約半数が孤独死問題に関心があるということです。ここでの記事を参考に、今一度自身の生活環境を見つめ直してみることをオススメします。