アポ電強盗とは、事前に高齢者宅に電話で【財産・世帯構成】などといった情報を聞き出した後、後日数人で自宅に押し入り金銭を強奪する犯罪のことです。
近年、アポ電強盗の被害件数は【2016年1万5,010件、2017年2万5,911件、2018年3万4,658件】と増加の一途を辿っています。ここでの記事では、注意喚起の意味を込めて2019年1~3月の間に起きた、アポ電強盗事件4選を紹介したいと思います。
2019年1月11日午前2時半ごろ、東京都渋谷区初台に住む高齢夫婦宅に、覆面を被った3人組が押し入りました。犯人らは、住人の男性(93)と妻(86)を縛り、現金約2,000万円と貴金属を奪い逃走しました。男性は、顔を殴られ軽傷を負いました。
警察によりますと、男性が物音に気づき玄関を開けたところ、犯人らが押し入ったということです。男性は約3時間後に自力で緊縛を解き、近隣の住民を通じて警察に通報したということです(固定電話は壊されていた)。
事件当日の2日前の9日、男性宅に資産状況を尋ねる【アポ電】と呼ばれる不審な電話がかかっていました。電話の内容は、夫婦の息子を装った男から「病気になってお金が必要になった」などと言い、自宅にある現金額を聞かれたため、男性は「2,000万円くらいなら用意が出来る」と答えたということです。
2019年2月1日午前8時40分ごろ、東京都渋谷区笹塚に住む高齢夫婦宅に、顔を隠した3人組の男が押し入り、住人の80代男性と70代妻を縛り、現金約400万円を奪い逃走しました。
警察によりますと、3人組はインターホン越しに警察官を名乗り、妻が玄関を開けたところ室内に押し入ったということです。
事件当日の数日前に男性宅に、息子を装った男から資産状況を尋ねる【アポ電】と呼ばれる不審な電話がかかっていました。男は「今すぐ準備ができるお金が自宅にいくらあるか?」などと資産を確認する内容を尋ねており、男性は答えてしまったということです。
2019年2月28日午後2時ごろ、東京都江東区東陽町のマンションに住む80歳の女性が、手足口に粘着テープで縛られ死亡しているのが見つかりました。
警察によりますと、女性宅に事件の数日前に資産状況を尋ねる【アポ電】がかかっていたということです。
女性の室内は、激しく荒らされていましたが、金庫や引き出しなどに入っていたカード類、現金およそ150万円が残されていました。また、固定電話の受話器のコードが切られ、インターネットが壁から強引に取り外され持ち出されていました。犯人は、金庫のカギや現金などを見つけることが出来なかったとみられています。
2019年3月13日、警視庁深川署捜査本部は、強盗殺人容疑で男3人を逮捕しました。逮捕されたのは【須江拓貴】容疑者(22)、【小松園竜飛】容疑者(27) 【酒井佑太】容疑者(22)です。
後に3人は、渋谷区の初台、笹塚の【アポ電】強盗事件にも関わっていたとして再逮捕されています。
2019年3月16日午前4時50分ごろ、静岡県小山町に住む74歳の女性宅(1人暮らし)に、20歳の男と19歳の少年が押し入り、現金100万円を奪ったとして、強盗致傷と住居侵入の疑いで逮捕されました。
逮捕されたのは、神奈川県厚木市の近藤良太容疑者(20)、神奈川県平塚市の19歳の少年です。2人は、女性宅に侵入し金庫内にあった現金約100万円を奪い、女性の顔に布団を押し付けるなどしてケガをさせた疑いが持たれています。
警察によりますと、被害に遭った女性は事件前日に息子を名乗る男から「100万円を用意してほしい」などといった【アポ電】がかかっていました。話を信じた女性は、自宅に現金を用意していたということです。
逮捕された少年は、事件の3日後に御殿場署に自首し「1人で金を奪った」と強盗容疑を認めています。一方、近藤容疑者は「知らない」と容疑を否認しているということです。