高齢者ドライバーのうち、5万7千人が認知症のおそれ

2018年5月28日午前11時頃に神奈川県茅ケ崎市の国道1号線で、90歳女性が運転した車が、4人の歩行者をはねたという事故がありました。このように最近では高齢者による交通事故のニュースが後が絶ちません。

政府も高齢者による交通事故については問題視しており、認知症対策及び高齢者運転の事故についての対策を進めていますが、全体の交通事故の7.2%が高齢者の事故を占め、依然と増加傾向です。

また警視庁によると、昨年の死亡事故に関しては、75歳未満の平均件数が3.7件に対し、75~79歳は5.7件で約1.5倍。80~84歳は9.2件と約2.5倍、85歳以上に至っては14.6件と約4倍という結果になっており、年齢が上がるにつれて件数が飛躍的に増加しています。

2020年までに交通事故による死亡者を200人以下に

昨年政府は警視庁と連携を取り、80歳以上の高齢者ドライバーによる交通事故の死亡者数を、2020年までに200人以下にするという目標設定を行いました。

具体的な対策としては、80歳以上の実車試験の導入(実際に運転してもらう)や高齢者ドライバーに対する運転適性相談の強化運転免許の自主返納がしやすい街づくり及び環境整備の推進です。

※余談ですが、運転免許証の自主返納数について暫定値ではありますが、2018年1月~4月の80歳以上の返納数が、昨年の同時期より約7000人増の6万3696人となっています。

高齢者の免許取消・停止が、道交法改正前の約3倍以上に

現在の道路交通法では、「高齢運転者対策の推進を図るための規定の整備」が行われており、75歳以上の免許更新時や一定の違反行為をした75歳以上の高齢者については、臨時認知機能検査、高齢者講習などを受けることが義務付けられています。そこで「認知症の恐れがある」と診断された場合には、免許の取消などの対象となります。

警視庁のまとめによると、2017年3月の道交法改正から2018年6月までで、認知機能検査を受けた人数が210万5477人。そのうち「認知症の恐れがある」と判断された人数が5万7099人ということが分かっています。

その後医師の診断を受けたのは1万6470人、運転免許証の取消処分を受けた数は1836人、停止については56人。他の処分の手続き中が1515人。残りの1万3063人については、免許継続という判断が下されたが、その約7割の人については原則6ヶ月後に再度医師の診断書の提出を求めるとする条件が、付け加えられていることが分かっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
最近は高齢者による交通事故が多い印象です。以前に書いた「高齢者ドライバーによる交通事故について」の記事にありますが、年齢が増加するにつれて運転に対する自信が増加傾向にあります。またそれに比例して、高齢者の事故件数も増加しています。

一方、高齢者の免許証の返納人数については、免許保有者のごく一部です。今後ますます高齢化が進む中、今以上に高齢者ドライバーによる交通事故が増えると私は考えます。こういった問題を解決していくには、高齢者の足となる自家用車がなくても、不自由のない街づくりをしていくことが、一番の近道なのではないでしょうか。自家用車がいらない街ならば、そもそも車を乗らなくていいわけですし、維持費などのコストもなくなります。

そしてこの問題について政府は、抜本的な対策に行うところまで来ているのではないでしょうか。今後の政府の動きが気になります。

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