高齢ドライバーが起こす危険な兆候 返納の目安とは

2019年4月19日、東京・池袋で87歳の高齢男性が暴走し歩行者をはね、母子2人が死亡した事故を受け、運転免許証の自主返納者の増加、ニュースやネットで高齢ドライバーについて多く取り上げられるようになり、世間では高齢ドライバーに対する意識が大きく変わったと思います。

さらに、高齢ドライバーと聞くと「もう、年なんだから返納すべき」という意見も多くあります。しかし、私個人としては、高齢となっても身体状況などは個人差があるので、一概に「全ての高齢ドライバーの運転免許証は返納するべき」という意見は、行き過ぎな気がします。色んな考え方や意見はあると思いますが、ここでの記事では、運転免許証の返納の目安となる危険な行動についてお伝えしたいと思います。

免許更新をパスしても安心できない

現在、道路交通法の改正により、75歳以上の高齢ドライバーの運転免許証の更新時には「認知機能検査」と「高齢者講習」を受けることが義務付けられています。しかし、これは1度だけ受け問題なければ、免許が更新ができ、次の更新日まで車の運転ができます。

ですが、高齢者の状態というのは、若い人と比べて状態の変化がしやすい傾向で、高齢になればなるほど顕著に現れます。そのため、検査などをパスしても、次の更新時まで状態が同じとは限りません。

池袋暴走事故を起こした飯塚幸三氏も、検査を受けた時には問題なしとされていましたが、その翌年に足を悪くし体の状態が著しく低下しています。また、主治医からも「車を運転するのは控えるように」とまで言われているので、まともに運転ができる状態ではなかったのは確かです。

そのため、運転免許の更新ができたとしても、それは期限内まで「運転適合者」というお墨付きということではありませんので、その時の体の状況をよく理解する必要があります。

自信過剰

高齢になればなるほど、運転に対して自信過剰になる傾向にあります。ある調査では、運転の自信を30代男性と80代男女に問うたところ「自分の運転に自信を持っている」と回答した人が、30代男性は28.6%だったのに対して、80代以上の男性が76.0%、女性が58.3%だったことが分かっています。

そして、自信があると答えた理由の中で最も多いのが「長年運転してきているから」です。

しかし、年を重ねれば、視野は狭くなり、認知機能も衰えてきます。また、「雨、夜、交通量の多さ、自転車歩行者の予期せぬ挙動」などといったドライバーにとって不利な条件が常につきまとうので、経験だけでは対処できない場合があります。

公道を運転する際は、どんな条件下でも瞬時に対応しなければなりません。そのため、頭では「俺は大丈夫」と思っても、実際に体が対応できないということがありますので、自信過剰な考え方は改めましょう。

車庫入れに手こずる

高齢ドライバーで運転能力の低下が直ぐに分かる状況が「車庫入れ」です。

まず、高齢者は空間認知能力が若い頃より確実に低下します。もし、空間認知能力が低下した人が車庫入れを行うと、車庫と自車との位置関係、速度などを瞬時に判断できないので、後ろやミラーを見ながらのハンドル操作、アクセルとブレーキの操作などといった複数の動作を同時に正確に行うことができません。

飯塚幸三氏も、事件後の調査で、バックで車庫入れをする際に、何度もハンドルを切り直し、妻から誘導指示を受けるといった場面が目撃されています。

いわゆる、これも空間認知能力の低下の表れで、もし運転免許証の試験時に行った場合は、間違いなく「失格」です。つまり、車庫入れが出来ないということは、運転に適した能力ではないということになります。

空間認知能力を確かめるポーズ

車の運転をしなくても、空間認知能力を確かめる方法があります。その方法が「逆キツネポーズ」です。

小さい時に手遊びをした人なら分かると思いますが「両手でキツネのポーズを作り、横に片方の手を反転させ、胸の前で両手の人差し指と小指をくっつけます」。

このポーズをやって、指がつかなかったり、反転させられない場合は、空間認知能力が低下している可能性があります。

高齢ドライバーの危険な兆候

当サイトでも、高齢ドライバーの危険な兆候についてお伝えしたことがありますが、昨今高齢ドライバーが加害者となる事故が多いので改めて紹介したいと思います。

危険な兆候 概要
・車の状態をチェック ・凹み、傷が増えている。洗車がされていない。
・自信過剰な言葉を言う ・「自分は大丈夫」「自分は事故をしない」「今まで違反や事故をしたことない」「自分はゴールド免許だから」
・一時停止時 ・停止線をはみ出す。左右の確認をしないで交差点に進入する。
・交差点時 ・道路標識や信号を見逃す。
・右左折時 ・方向指示器を出さずに、車線を変えたり、交差点を曲がる。
・車庫入れ時 ・ハンドルの切り返しを何度もするようになった。車体が斜めになる。
・運転時の様子 ・運転時に会話や音楽(ラジオ)など嫌がるようになった(集中できないため)。
・ペダルの操作 ・急発進、急ブレーキが多くなった(踏み込みが強い)。
・走行時 ・車間距離が極端に短い。蛇行(ふらふら)して運転する。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
私個人的には、全ての高齢ドライバーの免許証を返納すべきとは思っていません。ただ、高齢ドライバーを擁護するわけでもありません。何故なら、年齢を重ねれば必ず能力が衰える、運転できない能力になる可能性があるからです。その目安が、ここでの記事で紹介した内容です。まず、ここで紹介した内容のことが出来ないようでしたら、即刻免許証の自主返納をするべきです。間違いなく危険運転に繋がります。ですが、返納したら「生活が困る」といった意見もありますが、一歩間違えれば、池袋暴走事故のように何の罪もない人の人生を奪うかもしれません。自己中心的な考えを改め、運転免許証の返納をお願いします。そして、高齢ドライバーによる交通事故が1件でも減ることを願います。

シェアする

最近の投稿

高齢者におすすめの空気清浄機

高齢者にとって、清潔な空気環境…

3日 前

【高齢者向け】座ってできるレクリエーション30選

世の中にはレクリエーションの種…

7か月 前

介護用の防水シーツの選び方とおすすめ 6選

一般的なシーツと同じように、介…

4年 前