排便には個人差や習慣、タイミングなどで違いはありますが、少なくても排便が3日以上ない場合は何かしらの対処をした方が良いと考えられています。
いわゆる、こうした症状を便秘というのですが、便秘は高齢になると起こりやすく、特に便秘の中でも【機能性便秘】になりやすいと言われています。では、なぜ高齢になると機能性便秘になりやすいのか。ここでは、その原因と解決法についてお伝えしたいと思います。
機能性便秘とは、大腸の機能が低下したことで起こる便秘です。まず、日本内科学会で定義されている便秘は、毎日排便があっても残便感が残っている状態もしくは、3日以上排便がない状態のことを指しています。
便秘には大きく分けて2つあり、突然起こる【急性便秘】と長期間続く【慢性便秘】に分類されます。
その慢性便秘の中で4つの種類があり【機能性便秘】【器質性便秘】【薬剤性便秘】【症候性便秘】に分けられます。その中の【機能性便秘】は高齢者に多い便秘とも言われており、機能性便秘にも3つの種類がありますのでここではお伝えします。
弛緩性(しかんせい)便秘とは、簡単に言うと大腸の運動機能が低下したことにより起こる便秘です。この弛緩性便秘というのは、高齢者に多い便秘とも言われています。
弛緩性便秘の原因は、大腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が低下し、大腸内に便の通過時間および滞在時間が長くなり、水分が多く吸収され便が固くなることで起こります。ちなみに、蠕動運動というのは波のように(ミミズなどのように)動き肛門まで運ぶことをいいます。この便秘になる主な原因は【筋力の衰え】と【水分量の低下】です。
筋力と便秘は関係ないように思われがちですが、実は深く関係しています。便を直腸から肛門までに運ぶためには周辺の筋肉を緩ませたり張ったりを繰り返し行い排便を促します。しかし、高齢になると筋力が衰えてくるのでこれらの機能が低下し、上手く便が運べず、弛緩性便秘になりやすいと言われています。
便に水分が失われれば便が硬くなり出づらくなるのは容易に想像がつくと思います。高齢者の場合だと喉が乾きにくかったり、トイレが近くなるので水分摂取を控えるといった人は少なくありません。そのため、必然的に体内の水分量が低下し、それが影響し便が硬くなって弛緩性便秘になりやすくなります。ちなみに、食事からも水分は摂取できますので、食事量が低下している人も弛緩性便秘の原因になります。
痙攣性(けいれんせい)便秘とは、過度に副交感神経が活発になっていることにより腸管が緊張して、便が旨く運ばれないことがこの便秘に当たります。特に下の方の大腸(下行結腸)で痙攣を起こして狭くなり、便の移動を妨げ、さらに上部の腸の圧力が高くなるため腹部が張った感覚になり痛みや不快感を感じます。そして、肝心の便ではウサギの糞のようにコロコロした便が出てきます。排便量も少ないので、残便感が残り常時不快感を訴える人が多くいるのが痙攣性便秘の特徴です。
痙攣性便秘の原因としては、精神的なストレスを受けたことでなります。例えば、身内の死、引越しなどの環境の変化、人間トラブル、金銭トラブルなどです。
直腸性便秘とは、直腸に便が溜まっても排便反射(便意)が起こらない状態のことを言います。通常、便が直腸を通過すると直腸の壁が伸びることで排便反射が起きますが、何らかの事情で過度に我慢をすると便意がなくなっていきます。
いわゆる、排便の感度が悪くなることで直腸性の便秘が起きます。排便を我慢する習慣がある人に多いことから、習慣性便秘とも言われています。
以下の項目に2つ以上当てはまるものがあれば【便秘】の可能性が高いので、一度病院に受診されることをオススメします。
原因 |
---|
3日以上排便がない |
硬い便もしくは、ウサギ状の便が出る |
常に残便感がある |
力まなと便が出ない |
少量の便だが、硬くて出づらく、何度もトイレに行く |
便秘にもさまざまな種類があり、それぞれ対処法が異なります。ここでは機能性便秘の解消法についてお伝えしたいと思います。
機能性便秘は生活習慣を改善すれば良くなる場合があります。特に弛緩性便秘は典型的と言っても過言ではありません。
この便秘の場合は【食事や水分の摂取・食物繊維の摂取・適度に運動を行う】といった言ったように規則正しい生活を行えば良くなることが多いです。痙攣性便秘や直腸性便秘であれば、トラブルとなっている原因の解決、リフレッシュなどをして気持ちを楽にすれば改善される可能性があります。
市販の便秘薬は、なるべく使わない方が良いです。理由としては、効力が強かったり、自身が飲んでいる薬との飲み合わせが悪い場合があるからです。そのため、上記での便秘の診断で当てはまった方は、市販の便秘薬は使わず胃腸科に受診することをオススメします。
いかがでしたでしょうか。
ここでの記事では、高齢者に起こりやすい便秘、その中でも機能性便秘についてお伝えしました。本記事でも触れましたが、機能性便秘は生活習慣の改善、トラブルといった原因の解消を行えば良くなることが多いので、自身の生活を見直し、それでも改善されないようであれば病院への受診をオススメします。