近年高齢者世帯の約8割近くは在宅で生活をしているとデータが厚生労働省より報告があります。また高齢者の大半は住み慣れた地域で安心して暮らしたいと希望しています。では、高齢者が安心して暮らせるとは一体どのようなことを指すのでしょうか。ここでは高齢者の暮らしについて考えていきたいと思います。
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高齢者が安心して暮らせるというのはどういうことなのでしょうか。私が思うにはまず、安心をして暮らすにはこの条件が必須なのではないかと思います。
これは基本条件ですよね。何事にも体があってのことです。例え大金持ちだとしても、病気をしていたら、安心して暮らせません。安心して暮らすには、自身で日々の健康管理を行っていくことが必要だと考えます。また健康管理を怠っていると認知症の発症のリスクも高まるため、若い時以上に気を配る必要があります。
健康管理を行っていても、日々の生活に楽しみがなければ「何のために生きているの?」と生きていることに不安を感じてきます。高齢者の方は精神的なダメージを受けやすくうつ状態になりやすいです。またこのように生きがいのない生活を続けていると、刺激もなく生活にメリハリがないため、認知症の発症のリスクが高まります。
高齢になるにつれて、体が衰えてくるため病気になりやすくなります。そういった場合に身近に医療が受けられない環境ですと、通院をするだけで一苦労です。最悪の場合は、病院に通うことも出来ないといった事態も起きてくるでしょう。そのため身近に医療を受けられる環境があることで、些細なことでも相談ができ、また病気の早期発見にも繋がるでしょう。
福祉サービスが受けられる環境については、全ての高齢者の方が健康に生活をしている方ばかりではなく、高齢者の中には介護を有する方もいます。福祉サービスを提供してくれる社会資源が多いほど、高齢者の選択肢が広がり自身の生活の質を上げることに繋がってきます。例えば通所介護(ディサービス)などでは色んな特色を持っていることで、趣味嗜好にあった場所に通えることに繋がります。
高齢者が住みやすい街を作っていくのは、「地域」だと思います。地域とのつながりがなければ、個々が孤立していきます。今では昔ほど隣人同士の付き合いは少なくなってきていますが、今でも皆さんが住んでいる場所には自治体(町内会)というものが存在しているはずです。そういった方が高齢者の見守りや可能な限りの支援を行っています。各自治体は、地域に住んでいる高齢者の情報を持っています。その情報を元に地域全体で高齢者の見守りを行うことで、「自分は一人ではない」という安心感にもつながります。
現在我が国では団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な介護が必要となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることが出来るために、「医療」「介護」「予防」「住まい」「生活支援」「行政」「ボランティア団体」「民間企業」が一体的となってサービスを提供し、高齢者が住みやすい地域にするという概念のもと、「地域包括ケアシステム」というシステムを構築させました。
現在では地域包括ケアシステムの特徴の一つともいえる、「施設から在宅へ」と介護をする場が移りつつあります。施設では24時間絶え間なく 介護の提供が受けられる「内部完結型」から、自宅等を中心とし、地域で高齢者を支えていく「地域完結型」へという流れに時代は向かっているのです。
いかがでしたでしょうか。
ひと昔前は、高齢者は施設(病院)で過ごしていくこと多かったですが、現在では施設から在宅へと介護の場が移りつつあります。その背景としては、国が推し進めている「地域包括ケアシステム」の存在があります。高齢者の方が住み慣れた地域で、安心して自宅で住み続けるように、医療と介護、自治体などが包括的に支援を行える体制を構築させたからといえるでしょう。しかしまだまだ足りない部分はありますが、これから制度改正などを繰り返し見直しを行っていくことで、より住みやすい地域になっていくことを切に願います。
長文お読みいただきありがとうございました。