最近、高齢者のカスハラ(カスタマーハラスメント)が問題になっているのはご存知でしょうか。接客業で働いている方、もしくは働いていた方なら一度は遭遇したことがあると思います。まだご存知でない方に説明しますと、カスハラというのは、限度を超えたクレームです。というより、もはやクレームの域を超えています。私も接客業をやっていた時に、カスハラをする高齢者に遭遇したことがありますが、暴言とも取れるような発言をされたのを今でも覚えています。そういった経験や体験を踏まえ、ここでの記事では、高齢者のカスハラの特徴や原因をお伝えしたいと思います。
目次
「カスハラ」というのは、カスタマーの「カス」とハラスメントの「ハラ」をもじった言葉です。ちなみに、カスタマーというのは「消費者」で、ハラスメントは「いじめ・嫌がらせ・苦しめる」という意味を持ちます。
脳の病気などが原因で情緒不安定になっているのは例外として、何故カスハラをしてしまうのか。次は、その理由についてお伝えします。
元々「誰かより上に立ちたい」と思っていた高齢者に多いと言われています。「コールセンター白書」では、コールセンターへの問い合わせの約4割が高齢者。さらに、その大半は、男性高齢者が占めていました。そして、過度な要求をしてくるほとんどが男性高齢者で、二言目には「俺は客だぞ」という言葉が出てくるそうです。
◇ 歪んだ正義感
カスハラをする高齢者の中には「店のために言っているんだぞ」と威張り散らす高齢者もいます。店側に落ち度があったのかもしれませんが、カスハラのような態度を取られては、店のためもなにもないような気がします。
カスハラといわれる高齢者に共通しているところは「時間を持て余している」点です。普通、店側に対して、クレームなどを言うには「時間」を使います。しかし、時間を持て余している高齢者には時間の制約がないので、時間を気にせずクレームを言うことができ、カスハラに発展しやすい傾向にあります。例えば、居座る行為だったりとか、執拗に電話をかけるなどです。
クレーム事態は悪いという訳ではありません。通常のクレームは「ここが良くない・改めるべき・粗悪品だったので返品してほしい」など、要点をおさえて伝えると思います。
しかし、時間を持て余している高齢者(カスハラをする人)は、クレーム以外にも「利益・感情」などといったのも伝えてきます。
カスハラの特徴をお伝えしたような言動では、普通はやりませんよね?こういった言動も、時間を持て余しているからこそなのです。
現役時代に多大な業績を残していたり、上の役職につき周囲からチヤホヤされていた人が、引退後に「ふつうの人」扱いをされることで、ねじ曲がった疎外感を感じることがあるといいます。
それが、その人の怒りの沸点を下げ、「一番いい時だった自分」と照らし合わせ、腹を立ててしまう傾向にあります。
カスハラをする高齢者の中には、暴力にまで発展するケースもあります。ちなみに、暴力というのは「殴る・蹴る・叩く」だけが暴力ではありません。相手を「押す・胸ぐら掴む・物を投げる」などといった行為も暴力(暴行罪)に当たります。カスハラがエスカレートすると、そういった事案も多いと言われているので注意が必要です。
全てがカスハラなどによるものではありませんが、高齢者の犯罪率は増えてきています。法務省の犯罪白書平成27年度版によれば、平成26年の高齢者4万 7,252人(前年比 2.2%増)となっています。その内訳で、「傷害・暴行」は10.9%(5,151人)。この人数が全てカスハラをする高齢者とは言えませんが、カスハラをする人の心の奥底には、何か根深いものが隠されているような気がします。
私が学生時代にアルバイトをしていた時のことです。私の同僚が高齢女性におつりを渡したときに「おつりの渡し方が気に入らない」と同僚に、小銭を投げつけるということがありました。これは明らかに「暴力」です。また、この件で騒ぎ立てるようなら「威力業務妨害」になる場合もあります。
◇ 店に開店から閉店まで居座る
他の友人のアルバイトの話では、開店から閉店後まで店に居続け、怒鳴り散らしていた高齢者がいたと言っていました。
これらの話は、クレームの域を明らかに超えているため犯罪に抵触する可能性は十分にあります。また、周りも「ただ怒っている高齢者」と安易に捉えるのは危険です。
時には、シルバーモンスターなどと言われることもある高齢者。一番の要因は、時間が余っているからだと私は考えます。忙しい人は、ちょっとしたことくらいでは、烈火のごとくクレームは言いません。こういったカスハラをする高齢者に対しては、変に弁解をするのではなく、毅然とした態度を取るのが一番です。これからさらに、高齢者が多くなるわが国ですが、カスハラをする高齢者もまた増えると思いますので、注意が必要となります。