2019年3月29日内閣府は、40~64歳のひきこもり状態の人が全国に推計で「61.3万人」いることを公表しました。全国規模で「中高年ひきこもり」が明らかになるのは今回が初めてで、今後の高年齢化や高齢化問題に進展する状況が浮き彫りになりました。
◇ 5年以上のひきこもりが半数以上
今回の調査では、2018年12月に無作為抽出した「40~64歳:5,000人」を対象に実施し(有効回答率は65%)、「中高年のひきこもり:40~64歳」が61.3万人と公表しました。
ひきこもりをしていた世代の割合については「40代:38.3%」「50代:36.2%」「60~64歳:25.5%」。このうち、期間が5年以上の長期に及ぶ人が半数を超え、20年以上の人に至っては、2割弱を占めていたことが分かりました。性別の割合では「男性:76.6%」「女性:23.4%」と男性のひきこもりが多い傾向でした。
補足として、内閣府が2015年度に調査を実施した「若年のひきこもり:15~39歳」が54.1万人だったことを公表しています。
◇ 就職氷河期世代の層が多い
今回の公表で、ひきこもりは若者特有の現象ではなく、以前当サイトでもお伝えした「8050問題」がいかに特殊な例ではなかったことが言えるでしょう。また、「就職氷河期世代:30代後半~40代後半」が調査対象の年代でもあるため、中高年のひきこもりが増えた要因でもあると考えられます。
◇ 従来のひきこもりは若年層と考えられていた
中高年のひきこもりが社会問題にならなかったのは、国による調査がされず放置されていたことが大きいと言えます。また、ひきこもりは「若年層の問題」という先入観を国が持っていたのも原因の1つでしょう。
中高年のひきこもりは、のちの高齢化問題に発展する事案でもあるため、国はこの調査結果を真摯に受け止め、中高年の当事者のニーズをくみ取り、積極的な就労支援の実施や居場所を作っていくことが、今後重要になってくるのではないでしょうか。
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