揺れる【在職老齢年金】 月47万円の現状維持が強まる

働いて一定収入を得ている高齢者の年金額を減らす【在職老齢年金制度】を巡り、現状維持(月47万円)となる可能性が強まってきました。

当初案、訂正案ともに反対意見が多数

先月9日、厚生労働省は社会保障審議会の年金部会で、現状の月47万から62万円を引き上げる案を提示しましたが、高所得者優遇との批判を受け、月収51万円に見直しましたが、反対意見が収まらなかったため、現状維持(月47万円)となる可能性が強まりました。

現在の制度では、65歳以上の高齢者が年金と賃金の合計額が月47万円を超過すると年金額が減ります。現在だけでもその対象は108万人おり、金額にすると約9千億円が支給停止になっています。

当初、厚生労働省は62万円案を出し、その根拠を示した資料で社会保障審議会では60~64歳の減額基準の引き上げは【一定の就業促進効果がある】とした一方で、65歳以上の高齢者は【効果が確認できない】と反対意見を受け、現在の基準を見直す根拠が揺らぎました。

これを受け厚生労働省は、11月9日に減額基準を月51万円まで下げる案をまとめ、社会保障審議会でも概ね了承を得ましたが、それでも与党の一部から懸念する声が止まらなかったということです。19日、公明党の会合では「在職老齢年金の見直しで就労効果が見込めるのか」という疑問が噴出しています。

基準額を見直しても恩恵を受ける65歳以上の高齢者はごくわずかで、現役世代だけなく高齢者間でも不公平感が強まりかねない事態になることは容易に想像ができるでしょう。

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