高齢とともに、糖尿病のリスクが高まるといわれています。それはインスリンの分泌の量が減少と、インスリンの働きが悪くなるためといわれています。
糖尿病には1型2型が存在します。ここでの記事では、比較的高齢者の罹患率が多いとされている2型糖尿病についての原因と対策をご紹介していきたいと思います。
目次
糖尿病とは血液中に流れるブドウ糖が体で処理できない濃度まで達してしまうことで、血糖値が正常よりも高い状態が続く病気のこといいます。
正常な人の血糖値の値が食後で、約130mg/dlですが、糖尿病の方では約200mg/dlにもなります。もちろん個人差はありますが、数値が高いのは確かです。また血糖値が高くなることで、血液中に溜まったブドウ糖が処理できず、尿へ排出されます。糖尿病患者の方は、よく喉が渇き、トイレの回数が多いと言われるのはこのためです。
もともと糖尿病という病名の由来は、血液に糖があることが分かっていない時代に付けられた病名であり、現在では「高血糖症」と呼ぶこともあります。しかし糖尿病が世間一般的に定着していることから、現在でも糖尿病という病名が使われています。
糖尿病には、1型と2型の種類が存在します。型によって治療方法などが変わりますので、違いについて紹介していきます。
すい臓のβ細胞ランゲルハンス島が壊れてしまい、全くインスリンが分泌されなくなった状態です。そのため、体外からインスリンの補給が必須であり、補給を怠ると生命に関わる事態を招きます。
基本的には体内でインスリンを作ることができないため、インスリン注射により補給でしか対応は出来ません。
1型糖尿病の発症は、突然起こる傾向にあり、最初は風邪を引いたような症状といわれています。後ほど後述しますが、糖尿病の典型的な症状である、「喉の渇き」「頻尿」「急激に痩せる」などといった症状が出現します。
また子どもや若者に多いとされていた病気でしたが、最近ではさまざまな年齢層に起こる可能性があるとされていわれています。
「肥満」「過食」「運動不足」「ストレス」などから発症をします。また遺伝的に糖尿病になりやすい人は更に糖尿病へのリスクが高まります。
後ほど詳しく説明をしますが、2型糖尿病は、1型と違いインスリンの分泌の働きが悪くなっている状態ですので、食事療法や運動療法、飲み薬などで上手くコントロールすることで、生活に支障なく過ごす事ができます。
しかし2型糖尿病のほとんどが自覚症状ないため、健康診断などで発見されることが多いです。また気づいたときには重症化していることがあります。
通常私たちは食事を摂る時に、ご飯やパン、麺などのいわゆる主食である炭水化物を食べますが、炭水化物というのがブドウ糖(エネルギー源)です。
そのブドウ糖が適切に各細胞へ行き渡らせる物質が「インスリン」です。インスリンは、すい臓のランゲルハンス島のβ細胞というところで作られています。またβ細胞というのは非常に優秀で、食事を摂ることで上がる血糖値を察知し、直ぐにインスリンの分泌を行います。
そして分泌されたインスリンの働きによって、ブドウ糖を各細胞へ運ぶことができ、私たちは活動が出来るのです。またこのようにブドウ糖を速やかに処理することで、食後に増加した血糖値が一定の量に保たれるのです。
しかし糖尿病の方は、インスリンの分泌がされないか鈍くなっているため、ブドウ糖が運ばれず血液中にブドウ糖が溜まってしまいます。このブドウ糖が血液中に長く留まってしまうことで、血管が弱ることで血液が詰まり、さらに重度化すれば、失明や腎不全といった深刻な病気へと発展してしまいます。
糖尿病を患うと、血液中の血糖濃度が高くなります。そのままの状態を維持していると、血液がドロドロとなり、また徐々に血管を傷つけられ、血管がボロボロになっていきます。
また糖尿病は、初期段階では自覚症状がないことが多く、気づいた時には重症化しているケースがよくあります。そのため、糖尿病の初期症状についていくつか例を挙げていきたいと思います。
・疲労感や倦怠感がある。
・皮膚が乾燥しやすい、乾燥して痒い
・手足の感覚が鈍い、痺れ、冷え
・トイレの回数が多い、尿の泡がなかなか消えない。
・目がかすむ。(視力低下)
・切り傷などが治りづらい
・喉の渇きがよくある
・食べているのに体重が減る
上記が糖尿病の初期症状にみられます。しかし糖尿病の初期症状は、徐々に進行していくため、なかなか見極めるのが難しいです。そのため、頻繁に医療機関で定期検診を行うことをお勧めします。
前述でも説明しましたが、血液中に血糖が長く留まっていることにより血管が弱ってきます。毛細血管など細い血管は、もともと脆いため症状が早めに出るとされています。また手足、網膜、腎臓は毛細血管が特に集中しているところであり、これらの場所に障害を負うと、「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」を患ってしまいます。
またこれらの合併症は、糖尿病の三大合併症といわれており、糖尿病患者の方は合併症を引き起こすリスクは非常に高いといわれております。
さらに太い血管での症状では、脳梗塞や心筋梗塞といった病気を引き起こすリスクも高まりますので、糖尿病と診断されてしまった場合は日常生活を見直す必要があります。
厚生労働省が3年ごとに「患者調査」を実施しており、平成26年の調査によると、日本の糖尿病総患者数が約316万6,000人であり、前回の調査より約46万人以上増加しました。またその半数が65歳以上の高齢者であり、高齢者の糖尿病患者は、約150万人いることになります。
出典:厚生労働省
図を見ていただいた通り、男性の総数が19.5%で6人に1人、女性の総数が9.2%で10人に1人が「糖尿病が強く疑われる」とされています。
特に高齢になるにつれて罹患率が高くなるため、今後高齢化がますます進むことになると、国民の大半が糖尿病患者といっても過言ではなくなります。
糖尿病への対策は、基本的には食事療法が肝になります。そしてまずここから全てが始まります。予防も同じで、バランスの摂れた食事を摂ることで糖尿病を患うリスクは下がります。
食事療法とは、必要以上のカロリーを摂らず、バランスの摂れた栄養を摂ることが基本的な考え方です。インスリンの分泌で血糖値のコントロールをしているため、過度なカロリー摂取はすい臓に多大な負担をかけることになります。
それを毎日同じ食生活を続ければ、すい臓の働きは弱まるのは至極当然のことです。お酒に例えると肝臓がダメになるような感じです。
そのため、すい臓に負担をかけない食事を摂る事が大切であり、且つ糖尿病に嗜好品を除き良い悪い食品はありません。どんな物でも摂りすぎには体には良くありません。あくまでバランスよく食事をすることです。
糖尿病は、「過食」「肥満・運動不足」「ストレス」などが原因とされています。そのため、運動を行うことで、カロリーの消費がされ、肥満や運動不足が改善されます。また食後1時間頃に有酸素運動を行うことで、各筋肉への血流が増え、エネルギー源となっているブドウ糖が行き渡り血糖値が下がります。また筋肉の活動量が上がることで働きの悪かったインスリンの働きが改善されます。
消費エネルギー量としては、160~240kcalが良いとされており、散歩に換算すると1万歩が目安とされています。また1週間に3日以上を行うことで、効果が表れるとされています。
軽い運動 | 軽い散歩 (30分前後) | 軽い体操 (30分前後) |
やや強い運動 | ウォーキング (25分前後) | 自転車 (20分前後) |
強い運動 | テニス (10分前後) | |
激しい運動 | クロール (5分前後) |
いかがでしたでしょうか。
2型糖尿病は、基本的には「過食」「肥満」「運動不足」「ストレス」からなります。理由としては、前述した通り、すい臓への負荷によりインスリンの分泌能力が低下することにより、血糖が上がったままの状態にしておくと発症してしまいます。そういった状況を避けるには、食生活の見直しと適度な運動が効果的です。また初期症状については、とても分かりづらく「年のせいかな」と勘違いしてしまう症状もあるため、糖尿病にならないためにも、定期的に医療機関へ受診し検査をしてもらうことをお勧めします。