有料老人ホームを活用で特養待機者を解消へ 江戸川区

2020年11月より、東京都江戸川区は介護付き有料老人ホームの空床を活用し、特別養護老人ホームの待機者を減らす事業を始めました。要介護3以上で特養への入所を約1年以上待機している区民が対象で、区内外問わずに介護付き有料老人ホームに入居した場合、特養の居住費用との差額2分の1(上限月7万円)を補助が受けられます。この事業は全国で初めてです。

事業開始のきっかけとは

江戸川区では、特養に申し込みを行ってもなかなか入所ができない課題に対して、介護付き有料老人ホームの空床の活用し、待機者問題の打開策として始めました。本来は、待機者を減らすためには特養の整備が必要ですが、それには土地の確保や多額な費用がかかり困難を極めています。江戸川区の高齢者数は14万8458人おり、そのうち要介護認定者は今年7月末時点で1万9,976人。一方、区内にある特養の数は20か所、全ての定員を合わせても1,643人で、待機者はここ数年で800人程度で推移しています。

そこで江戸川区は、区内にある40か所、定員2,365人で入居率約90%に留まる介護付き有料老人ホームの活用することを決めました。ただ、介護付き有料老人ホームの居住費は高額なため、区が一部補助し負担を軽くすることとしています。

補助額はいくら?

補助額については、要介護3で利用者負担1割の場合、ユニット型個室特養の居住費は約6万。対して、同条件の介護付き有料老人ホームでは約20万という現状を踏まえ、差額の2分の1、上限月7万円としました。補助期間は最大3年とし、介護付き有料老人ホーム1か所につき5人までの制限を設けました。今年度限り介護付き有料老人ホームに既に入居されている人も条件を満たせば対象となります。

一方、特養側からは入所者が取られるという懸念もありましたが、介護付き有料老人ホームに入居しても待機者名簿には残るため影響はないとされています。

※参考:福祉新聞より