2019年11月5日、名古屋市立大学などの研究グループがアルツハイマー病の早期診断を可能とする新たな検査方法を発見したと発表しました。この方法が確立すれば、1滴の血液だけで結果が分かるようになる可能性があるということです。
近年の研究では、アルツハイマー病の患者の脳内に20年以上の時をかけてアミロイドβと呼ばれる特殊なたんぱく質が蓄積され、その影響でアルツハイマー病が発症することが明らかになっています。さらに、発症後は治療効果が出にくいことも分かっていることから、アミロイドβの蓄積が進行する前に対応することが課題となっています。
研究グループは【フロチリン】という体内のたんぱく質に着目し、挙動を詳しく分析したところ、アルツハイマー病を発症した一般の人よりも著しく低下していることが分かりました。また、軽度認知障害(MCI)の人でも、アミロイドβが蓄積している人とそうでない人とでは有意差があったということです。
フロチリンは血液1滴で検出が可能で、今後精度が高まればアルツハイマー病や他の認知症、うつ病などを判別することが出来るようになるということです。
現在のアミロイドβの蓄積方法は、陽電子放出断層撮影(PET)による画像診断や髄液の採取などが一般的であるため費用が高く、患者への負担が大きいことから、代替法が期待されていました。そのため、研究グループは今後も研究を重ね、簡単で安全且つ安価な診断法の確立させ、アルツハイマー病などに有効な治療薬の開発に結びつけたいとしています。