高齢者が転倒した時などによく起こる骨折が【大腿骨骨折】です。大腿骨の骨折は寝たきりになる恐れがあり、さらには死亡率も上がることが明らかになっています。そうしたことから、全国では早期の手術とリハビリで後遺症を減らす取り組みが広がりつつあります。
国内の発生数は年に約20万人と推計されており、多くは80~90歳代で、その中でも女性が全体の4分の3を占めています。多くは、骨粗鬆症によって骨が弱くなり外部からの衝撃に耐えられなったことにより起きます。折れる部分は、大腿骨の上端に近い【転子部】や骨盤にはまる球状の骨頭のつけ根の【頸部】がほとんどです。これらの治療は、手術で金属などでできた【髄内釘】を骨に打ち込んで固定、もしくは骨頭を人工骨頭に置き換えたりする方法です。術後は、リハビリとなります。
高齢者の大腿骨骨折後は後遺症が厄介とされており、手術までに時間がかかれば感染症や床ずれ、せん妄(意識障害)の危険性が高まり、海外のデータでは大腿骨骨折の1年後に6割の人が移動や食事、排泄といった基本的な日常生活動作のどれかが出来なっていました。別の研究では、5年以内に死亡した割合が4割と骨折していない人の4倍という結果も出ています。
また、1日ベッドで安静にしていれば1~3%の筋力が低下し、術後の回復が大幅に遅れ、元の生活に戻れなくなる可能性があります。現在、骨折から手術までの期間は全国平均で4.2日となっており、【早期手術・リハビリ】が骨折後の生活に大きく左右されます。