秋田大高齢者医療先端研究センター長の大田秀隆教授らのチームらが、秋田県横手市に住む65歳以上の高齢者103人を対象に認知機能検査を行ったところ、認知症の前段階とされる【MCI=軽度認知障害】の割合が47.6%という調査結果等をまとめ、医学誌に発表しました。
MCIは日常生活を送るうえで大きな支障があるわけではないですが、認知機能レベルが低下している状態で、将来的には認知症を発症する可能性があることを指します。
研究チームは、2018年度に横手市や市立大森病院等の協力を得て、認知症ではない横手市西部の高齢者103人(男性47人、女性56人)に認知機能検査を受けてもらいました。注意力や記憶力などを調べた結果【47.6%の49人(男性22人、女性27人)】がMCIと判定され、MCIではない人と比べて歩行速度が遅く、うつ傾向といった特徴が見られたということです。
こうした結果に、大田教授は「天候の影響、特に降雪量が多い地域のため、外出が控え気味になることでの運動不足や他者との交流機会が少なくなることが関与しているのかもしれない」と分析。その対策として「歩行速度を維持できるような運動習慣を心掛ける」「うつ傾向にならないよう、地域の人たちとの交流を深めることが必要だ」としています。
ただ、これらの結果について大田教授は「報告がある国内の他地域と比べ、横手市の有症率は高いが調査人数が少なく、あくまでも参考値と捉えてもらいたい」と話しています。
※秋田大高齢者医療先端研究センター、横手市、市立大森病院、国立長寿医療研究センター(愛知県)が共同で研究を実施した。