老後資金2000万円問題などで世間では大きく騒がれ、先日金融庁はその問題について撤回しました。しかし、その騒動後日本国民は年金に対する信頼はかなり低下したように思えます。そんな不安が囁かれる日本の年金制度ですが、他国と比較するどういった立ち位置なのか見ていきたいと思います。
米コンサルティング会社【マーサー】が、世界人口の約3分の2をカバーする37か国と地域の年金を検証したところ、日本の年金制度は31位にランク付けられました。グレードについては、7段階中(A・B+・B・C+・C・D・E)の【D】ランクです。この評価は【大きな欠点があり、対処しないと効率性や持続性が疑われる水準】とされています。
● 上位ランキングの10か国
1位:オランダ 6位:ノルウェー
2位:デンマーク 7位:シンガポール
3位:オーストラリア 8位:ニュージーランド
4位:フィンランド 9位:カナダ
5位:スウェーデン 10位:チリ
マーサーでは【十分性(Adequacy)】、【持続可能性(Sustainability)】、【健全性(Integrity)】の3つの観点から40項目以上をスコアリングしたのち、それを加重平均した総合スコアで順位付けがされます。日本のスコアの内訳で一番足を引っ張ったとされているのが【持続可能性(Sustainability)】でした。
持続可能性の項目で低評価となった理由が、日本の公的年金の仕組みでも【賦課方式】にあります。賦課方式は、年金支給に必要な財源をその時々の保険料から徴収する方式で、いわゆる、現役世代から年金受給世代への仕送りです。世界の中でも断トツに少子高齢化が進んでいる日本で、この方式を採用している時点で持続性に疑問符がつくのは言うまでもありません。
今の年金制度のままだと、金融庁が公表した(撤回済み)老後資金2000万円問題はまんざらでもないため、今後は【年金+α】が必要な時代になります。
プラスαの部分については、税制優遇のあるNISAやiDeCoなどといった私的年金制度を賢く活用したり、当座資金に問題がなかったり、労働が出来るのであれば年金の受給開始日を遅らせることも有効です(1か月繰り下げで年金額の約0.7%増)。
日本では世界の中でも最速で少子高齢化が進んでおり、日本の年金制度の改革を待っているだけでは何も解決しません。こうした、自助努力で改善できるところは改善するのが今後求められる生き方だと思います。