高齢者の入浴事故 熱中症が8割、ヒートショックが1割未満

2019年7月7日、千葉科学・黒木尚長(ひさなが)教授(法医学・救急救命学)の調査で、入浴中に浴槽で体調を崩した高齢者のうち、8割以上の人が熱中症かその疑いのあることが分かりました。また、急激な温度差で体に悪影響を及ぼす【ヒートショック】は1割未満でした。今まで、入浴の際にヒートショックの危険性が指摘されてきましたが、この調査結果で定説が覆る可能性が出てきました。

熱中症の危険性とは

2016年12月、黒木氏はインターネットで65歳以上の高齢者男女3,000人を対象に、入浴に関するアンケートを実施。入浴中に具合が悪くなった人が10.8%に上り、10.8%の人から聞いた症状などから熱中症が62.2%、熱中症の疑いが22.0%でした。ヒートショックの疑いについては、入浴前後を合わせても7.1%に留まりました。

黒木氏によりますと、仮に体温37度の人が全身入浴を行った場合、お湯の温度が41度だと33分、42度だと26分で体温が40度に達します。そのため、入浴中でも重度の熱中症の症状が現れ、意識障害などのリスクが生じます。また、体温が42.5度を超えれば突然死もあり得るということです。

湯温は41度以下、入浴時間は10分以内

黒木氏は「高齢者は、神経系の老化に伴い熱さを感じにくくなるため、長風呂をしてしまう傾向にあり、熱中症の初期症状が出ないまま重篤化することが多い」と指摘した上で、熱中症を予防するためには【湯温を41度以下、入浴時間を10分以内】を目安にし、小まめに体温を測ることが有効だとしています。