2019年4月19日、東京・池袋で、87歳の高齢男性が運転する車が暴走して、歩行者らを次々にはね、自転車に乗っていた母親と娘が死亡するという凄惨な事故がありました。この池袋事故を巡り、インターネット上では「上級国民」という言葉が数多く書き込まれ、憶測を呼んでいます。
◇ 事故を起こした男性は旧通産省の官僚
今月19日、南池袋で凄惨な事故を起こしたのは「飯塚 幸三」(87)です。男性は、元旧通産省の官僚で、大手企業の役員を経て、勲章を受けたこともある方です。
この男性の報道に、実名報道がされていなかったり、されても「さん」付け、事故直後に逮捕されていないことから「上級国民だから逮捕されないのか」などといった反発がネット上で広がっています。
◇ 結論:「上級国民」は、全く関係ない
検察庁のホームページによりますと、捜査手続きには「在宅事件:容疑者の身柄を拘束しないまま手続きする」と「身柄事件:被疑者の身柄を拘束(逮捕・勾留)して手続きをすすめる」というやり方があります。手続きについては、「犯罪の重大性・悪質性」「逃亡の恐れ」「証拠隠滅の恐れ」など、事情を総合的に判断して決まります。
現在、事故を起こした男性は骨折で入院中ですが、警視庁は、男性の回復を待ち、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで捜査を進める方針です。また、共同通信でも「警視庁は、証拠隠滅の恐れがないと判断し、男性を逮捕せず任意で捜査を進める」と報じています。