高齢者の多剤服用に警鐘 平均処方6.5種類 厚労省

厚生労働省は6月中旬、在宅療養をしている患者で、平均処方薬剤の種類数が6.5種類とまとめた報告書を発表しました。【多剤服用】に警鐘を鳴らすとともに、高齢者が服用する際に注意すべき薬剤のリストが公表されています。

一般化している【多剤服用】

昨年、厚生労働省は「高齢者の医薬品適正使用の指針」というガイドラインをまとめ、医療機関に向けて減薬の必要性やその具体的なプロセスを説き、見直しを求める方針を明らかにしました。

また、ガイドラインには【要注意リスト】として、よく起こりがちなリスクや併用によって起きるケースなどがまとめられています。

多剤服用をすると副作用が10~15%上昇

2012年の東京大学病院老年病科の研究結果では、6種類以上の薬を服用している患者は、それ以下しか服用していない患者と比べると、副作用が起きる率がおよそ10~15%も副作用が出やすい傾向であることが分かっています。

また、アメリカでも研修医向けの書籍に「4種類以上の薬を服用している患者は危険」という記述があるほど、多剤服用の危険性は世界中で危惧されているにもかかわらず、日本ではそれがまかり通っているのが現状です。

ガイドラインに、2014年に大手チェーンの585薬局で調剤を受けた【65才以上の高齢者約18万人(平均76.1歳)】を対象にした調査結果が掲載されています。

● 5種類以上の薬を処方されている高齢者の割合
・65~74才:27.2%
・75~84才:36.0%
・85才以上:47.3%

また、2019年に実施した別の調査では、特別養護老人ホーム入所者の処方薬が【6種類以上の割合:41%・平均:4.9%種類】だったのに対し、在宅療養患者は【6種類以上の割合:60%・平均:6.5種類】でした。

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